現在クリーニングを受けているお墓には古い灯篭があります。建付けがかなり緩くなってきているようで、触れると石の接合が痩せて機能していないのが分かります。お参りの方がけがをしては大変ですから灯篭のメンテナンスは奨励し、なるべく石屋さんに依頼して行ってもらうようにアドバイスしています。ここの灯篭はとりあえず接着剤を挟んで補強しておきました。
灯篭はいくつかのパーツを別々に作って、現場で重ねて建てていることが多いのですが、古いものはモルタルを挟んでいるだけのものや、重さで安定させているだけ物さえあります。
当時のモルタルは隙間を埋めるには良いのですが石を接着する機能は弱いです。現在の様に石材用の接着剤も発達していなかった当時の灯篭は、かなり危険な状態でかろうじて成立しているものも少なくないと思います。
先日地震があり、東京都で震度5強を観測する大きなものでした。
咄嗟にこの揺れであそこのお墓の灯篭は大丈夫かと心配になり、心配なお墓を見に行きました。やはりメンテをせずに接着剤を入れていない灯篭は倒れ、石の間に接着剤を入れた灯篭は整然と立っていました。
建てるときは風情が大事だからと苔が生えるように長期間水につけて持ってくる灯篭もあると聞きます。クリーニングも気を使って灯篭のコケや汚れはどの程度「残すか」を確認することもあります。しかし当たり前ですが安全が一番です。
墓石と同様にしっかり倒れず耐震性を考慮した作り方、あるいはリフォームの提唱、危機管理のお願いをお客様にも啓蒙していきたいと思います。
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